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梶原

【港区コミュニティを科学する③-4】自他共栄


港区モデルを作る

これからの取組み

高校生ボランティア「地域学校協働活動」

高校普通科の改革が始まります。教育内容が画一的と指摘されていた「普通科」が専門性の高い4コースに分割されます。その一つが、地域創生に貢献する人材を育成するコースです。地域課題の解決などを通じた探求的な学びが行われます。

センター試験は「大学入学共通テスト」へと刷新され、個別入学者選抜においては、ボランティア等の課外活動を記録する「ポートフォリオ」も重視されるようになります。「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価に加味するためです。

この流れをくみ、まちセンでは、「地域でボランティア活動を行いたい高校生」と「将来の担い手を育成したい地活」のマッチングを始めました。Open Street Mapなど、大阪市市民局が推進するプロジェクトへ結びつけることも考えています。

社会実験「地活が広告代理店になる」

大阪市建設局では、当局が管轄する公園において、地活が主体となり企業や近隣の店舗等と契約し、広告を設置する事業を検討しています。広告費は地活の収入となり、地活は建設局に一定の公園使用料を支払います。行政と連携したコミュニティビジネス(CB)の一つです。

当初、この事業案に関し、建設局から地域へのアンケート調査を依頼されました。まちセンでは、地域の生の声を届けるべく、CB研修会を開き、建設局の担当者と地活のキーパーソンに加え、ランドスケープと広告グラフィックの専門家を招き、3者で議論することにしました。

建設局から示された骨子に、実際どのような要領であれば実施できるかを地活が提案し、専門家は都市公園法や美観の見地から具体的なアドバイスを行いました。

ルール整備や地域間協定の作成等を通して「港区モデル」を構築し、他地域でも活用してもらえるようにするつもりです。もちろん、この案件も達成でき次第、情報発信していきます。

 

三方良し

もはや行政だけでガバナンスできる時代ではありません。

人口減少や少子高齢化、税収の悪化、社会保障費の増加が進むなか、行政が「公共」を担いきれなくなるのは明白で、多様化する住民ニーズには地域自体が応えていかなければなりません。

防災・防犯・福祉、地域ごとの課題解決を図っていくのが、「まちづくりセンター」の役割です。

地活も7年目になりますが、発足してから今まで、まちづくりベンチャーの気持ちで課題に取り組んできました。

港区・大阪市・国交省などから寄せられる要望を「機運」と捉え、公共政策と地域課題を結びつけていくことで、住宅支援・居場所づくり・景観資源の継承・担い手の発掘・自主財源の確保など、新しい解決策となる「モデル」を生み出していくことができます。

地域は課題を解決でき、行政はさらに前進し、まちセンの信頼は高まり連携しやすくなる。

三方良しです。

「港区モデル」を他区、他市、他都道府県へと広げ、そのノウハウを共有する。

まちづくりこそ、自他共栄の精神でありたいと願います。(完)

取材・文:梶原千歳 

イラスト:阿竹奈々子

 

【港区コミュニティを科学する③-4】自他共栄

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